炎の写真展
日本燃焼学会 2022年『美しい炎』の写真展最優秀作品賞
「菊の炎」
DELFIN, Jerric1,郭 峰1,橋本 望1,藤田 修1 1 北海道大学
作品の解説
この火炎は,垂直に設置した内径5cm長さ71cmの管内を下方に伝播する火炎が,管内に形成される音響振動との相互作用の結果として生じたものである. 上端開放の伝播管内においてNH3/O2/N2 の混合気(Φ=0.6、層流燃焼速度約15cm/s)に着火後、音響定在波により火炎面が平坦化し、その後、細胞状あるいは波紋状構造を形成する二次不安定へと遷移する。この写真は、伝播管の下端から撮影したもので、細胞状・波紋状の構造を火炎の正面から捉えたものである。アンモニアの橙色の火炎発光と火炎面に現れる特有の構造が、菊の花のように見える。
カメラ:FASTCAM Mini UX100, レンズ:VS-50085/C 50mm, F/0.85
絞り値:F/0.85; Frame Rate: 2000 fps at 1280×1024 pixel resolution
実験装置の詳細については,以下の論文[1]に記述されている.
[1] Ajit Kumar Dubey, Yoichiro Koyama, Nozomu Hashimoto, Osamu Fujita, Acoustic parametric instability, its suppression and a beating instability in a mesoscale combustion tube, Combustion and Flame 228 (2021) 277-291, DOI: https://doi.org/10.1016/j.combustflame.2021.02.006
日本燃焼学会 2022年『美しい炎』の写真展優秀作品賞
「炎の歌を聞く8月の杜若」
土佐尚子1,Yunian Pang1,中津良平1,林 潤2
1 京都大学 防災研究所巨大災害研究センター アートイノベーション産学共同研究部門
2 京都大学 エネルギー科学研究科 エネルギー変換科学専攻
作品の解説
写真には,流路内の定在波によって火炎長が変化するメタン/空気拡散火炎列の様子(Rubens tube)が映し出されている.噴出孔の位置を軸に上下/左右反転画像を作成し,上下に火炎列を並べることで,定在波の圧力分布に対応する火炎長の変化を強調した.写真右側には,バリア放電を纏った杜若(かきつばた)を配置している.これは,炎の歌を聞く8月の杜若であり,エネルギーの美しさを表現している.火炎列形成に用いたバーナは,約1 mの矩形流路を持ち,燃料供給側と反対側には薄いゴムシートおよびスピーカを配置している.供給する音の周波数を650 Hzから960 Hzとすることで,美しい波状の火炎列を可視化することができる.バリア放電を纏った杜若は,アクリル水槽と杜若の間に最大約 32 kV, 周波数7 kHzの正弦波を供給することで得た.