炎の写真展

日本燃焼学会 2005年『美しい炎』の写真展最優秀作品賞


NSYMPO MARK

「まわる火炎片」
鳥飼 宏之
産業技術総合研究所 エネルギー技術研究部門

作品の解説
 写真のドーナツ状の火炎は,内円のEdge flameが火炎基部として形成されたメタン/空気拡散火炎である.この火炎は,空気の軸対称噴流を平板に衝突させて衝突噴流場を形成し,その衝突平板に燃料噴出部として直径10mmの金属円板を中心に埋込んだドーナツ状の多孔質板を設置し,メタンを噴出することで,形成される(燃料噴出速度2.1cm/s,衝突噴流場よどみ領域の空気流よどみ速度勾配46/s).
 ドーナツ状の拡散火炎は,徐々に燃料噴出速度を減少させると,火炎基部の一部に剥離(局所消炎)が生じる.さらに燃料噴出速度を減少させると,剥離領域が火炎面全体へと広がり,最終的に全体消炎へと至る.その消炎過程の中で,火炎片がクルクルと周方向へ回転する現象が観察された.写真は反時計回りに約11回転/sで回転している火炎片を露光時間1/200秒で撮影したものである(燃料噴出速度1.4cm/s,空気流よどみ速度勾配46/s).
 この火炎片の回転現象は,剥離領域においてメタンと空気の相互拡散により形成された未燃予混合層の中を,残った火炎片が部分予混合火炎として周方向へ伝播することにより生じていると考えられる.