CO2回収型新燃焼方式発電

化石燃料を使用する火力発電はCO2回収型のゼロエミッション発電へ移行することが期待されています.ゼロエミッション発電の実現には,CO2を回収するために従来の燃焼技術とは異なるより先進的な技術が求められています.

  • 石炭ガス化燃料電池複合発電実証事業において,大崎クールジェンプロジェクトが行われています.これはSOFCモジュール2基とIGCCを接続した世界初のCO2分離・回収型IGFCの実証試験で,高濃度水素ガスによる運転・制御方法の確立,発電特性の把握,各要素の協調制御,及びシステムの全体効率に関する検討が行われています.2018年には170MW級実証プラントとして世界最高レベルの発電効率40.8%を達成しています.
  • CO2回収型クローズドIGCCプロジェクトは,IGCCを酸素燃焼セミクローズドシステムとすることで,CO2の全量回収を可能とするものです.酸素/CO2吹き石炭ガス化炉技術や乾式ガス精製技術の確立が図られ,発電効率42%以上を達成する目処が得られています.石炭ガス化炉やガスタービンはいずれも高濃度酸素とリサイクルCO2による酸素燃焼条件で運転されます.
  • 超臨界CO2サイクル発電は,超臨界状態でリサイクルされるCO2を用いて,天然ガスの酸素燃焼ガスタービンにより発電するシステムです.2021年から米国テキサス州において50MWth級試験プラントの電力網への接続と売電が開始されています.燃焼器は高圧(30MPa)条件で運転されるため,計測が極めて困難で,数値シミュレーションによる性能予測が重要となっています.
  • ケミカルルーピング燃焼発電は,CO2分離・回収装置や酸素製造装置が不要な中小規模石炭火力に適した技術です.金属の酸化反応熱を使って蒸気タービン発電を行うもので,燃料は金属酸化物の還元に用いられます.現在,2030年頃の実用化を目指した要素技術開発と300kW級試験装置によるプロセス実証が進められています.